ねこになりたい

読書と備忘録

北野唯我 このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

「このまま今の会社にいていいのか?」と思う人は多いだろう。私もそのうちの一人である。転職を考えた際に、周囲の先輩に話を聞くと、「30歳になると考えるよね」「タイミングだよね」と、新卒から同じ会社で長く勤めた人の中でも一度立ち止まって考えたという人が多い。この本はそんな人の迷いや焦りを受け止め、背中を押してくれるものである。

「いつでも転職できる」人だけが自由になれる
転職しようと思えばできる人がたくさんいる組織と、転職したくてもできない人間、それどころか今の会社にしがみついて足を引っ張るような人間だらけの会社、どちらの会社が強いか。いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社、それこそが最強である。
私が転職を考えた理由のひとつに「どこを見て仕事をしているか」という視点がある。今の会社は私自身も含め、まさに“社内・上司を見て仕事をしている”状況にある。これでは人は育たないし、将来性も見いだせない。では、いつでも転職できる人はどこを見て仕事をしているか。それは“マーケット(市場)”である。“マーケットを見て働く人間”は自身のマーケットバリュー(市場価値)を高めているため、いつでも転職できるという強いカードを持っている。

 

To do型の人間とbeing型の人間
To do(コト)型…何をするか、で物事を考える。明確な夢や目標を持っている。
Being(状態)型…どんな人間でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する。
多くの人がbeing型であり、私もそうであると思う。being型の人間にとって重要なのは、自分の状態と環境の状態である。
自分の状態とは、仕事を楽しむためにある程度のマーケットバリューがあり、求められるパフォーマンスとマーケットバリューが釣り合っていること。
環境の状態とは、“緊張と緩和のバランス”が適切であること。強い緊張が社内からもたらされたものなのか、社外からもたらされたものなのかがポイントである。社内からもたらされる緊張は上司からの圧力などの悪い緊張であることが多い。逆に社外からもたらされる緊張は、競合とのコンペやクライアントへのプレゼンなどタフな交渉が必要な『社外』に目が向いている、いい緊張であることが多い。上司を見て働くか、マーケットを見て働くかがここでもポイントとなっている。

 

転職の面接で聞くべき「活躍の可能性」
面接で聞くべきことが3つ挙げられていたが、そのうちの一つ、「中途で入って活躍できる環境かどうか」を重視することを忘れてはならない、と思った。転職活動を続けているうちに、「転職すること」が目的になってしまい、転職後の環境を見落としてしまう可能性がある。私自身、新卒での就職活動の時、就職活動自体を早く終わらせたくて、就職というものを深く考えず、何をしたいかも考えず、企業研究もせず、適当に就活をして適当に受かったところに入社したという経験がある。思えば高校受験・大学受験も「入れるところに入る」というスタンスだったため、その流れで就活もしていたのだが、今では非常に後悔している。転職はあくまでも手段であり目的ではない。転職後をしっかり見据えた就職活動をしていきたい。その為にも“マーケットバリューを高める”ことが大切である。

 

自分に「ラベル」を貼る
好きなものを見つけるのは難しい。得意なことを好きなことに近づける方法として、他の人から上手だと言われるが「自分ではピンとこないもの」から探す、普段する仕事の中で「まったくストレスを感じないこと」から探す方法がある。
確かに、普段仕事をしている中で、「なんでこんなことで褒めてもらえるんだろう」と恐縮することがある。これこそが私の強みであり「ラベル」になるのかもしれない。そしてこの「ラベル」がより強くなるところに身を置くことが良い転職になるのだろう。

 

終身雇用の時代は終わり、「個」の時代と言われている現代で、転職を考えるのは自然の流れなのかもしれない。私の場合、今の会社の将来性に不安を感じ、転職を決断した。このままこの会社にしがみつき、5年10年経ち会社が傾いた時に、自分自身に動く体力がないという焦りもあった。
「いつでも転職できる」という強いカードを持つ。例え転職しなくとも、「個」としてスキルを身につけ、マーケットバリューを高めることで、職場環境もよくなると思う。ラブホの上野さんのブログで、「転職したくないなら、転職の準備をしよう」というお話がある。私の大好きな記事である。こちらもぜひ読んでほしい。

 

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今から10年20年経った時に、「あの時動いていれば…」と後悔しない転職をしたい。
転職を考えている皆さん、転職したくないと思っている皆さんも、一緒に頑張りましょう。